目次
① IoTとは
IoTとはInternet of Thingsの略で、「モノにインターネットをつなぐ」ことを意味します。具体的にはモノにセンサーを取り付け、さまざまなモノの状態を把握したり 、遠隔でモノを操作することにより、手間を省き、より便利な生活を送ることができます。
たとえば、植木鉢に湿度センサーを付け、土が乾いてきたらモーターを動かし、水をあげるといった具合です。このようにIoT化を進めることで、人が植木鉢の様子を見たり、水をあげたりする必要がなくなり、手間を少なくできます。 人手不足を解消するための一つとして、IoT化が注目されているのです。
また、IoT化によって連続的に、細かくデータを取ることができます。たとえば、機械の動いている状況をセンサーによって、リアルタイムで連続的に計測することができます。これまでは機械の稼働状況を知ろうとすると、人が観察したり、撮影した映像を人が確認したりしており、サンプリング調査になったり、リアルタイムでの状況が分かりませんでした。一方、IoT化することで、機械の状態がリアルタイムでわかるようになり、トラブルの早期発見につながり、短い期間でPDCAを回すことが可能になり、対応が早くなります。また、連続的にデータを取ることで、人の観察では見えなかった不稼働など、視点の異なるムダも見えることになり、これまでと異なる改善をすることができるのです。
②IoTは魔法の杖ではない
IoT化が進むことにより、労働力不足の解消、売上増など、様々なメリットが挙げられ、すべての問題を解決するかのような錯覚に陥りますが、それは間違いだと考えています。
IoTによってできるようになるのは、「問題の見える化」であり、見える化されることによりアクションが素早く打てるようになるだけです。当然のことですが、見える化されるだけでは改善にはつながりません。また、多くの場合、見える化されるのは結果であり、「なぜ、そのような結果になったか」を考えなくては改善策を立案することができません。
たとえば、IoT化により、機械がいつ、どれくらい止まっているかはわかります。このデータを見て、現場のオペレーターが機械の止まっている原因を考え、具体的な行動に移さない限り、機械の稼働率は向上しないのです。
つまり、いくら見える化しても、現場に改善能力がなければ、改善されないのです。
③IoTの成功のポイントとは
IoTの成功のポイントは、現場の改善能力にあると考えます。改善能力は改善できる知識や技能の有無とやる気に分けることができます。
改善の知識や技能は、継続的に人材教育を行い、現場の能力を高めることです。リーマンショック以後、多くの企業が生き残りをかけて、コストダウンに励んできました。その結果、ぎりぎりの人員で現場を回すことを重視され、人への投資ができていません。そのため、多くの企業の現場で、改善の知識や技能の能力が下がっていると感じています。そのため、IoT化にくわえ、現場を再教育しないと効果が少ないと考えます。
また、「現場は付加価値の低い作業」、「現場はやって当たり前」と考え、現場を軽視している企業もみられます。このような扱いを受けている現場では、IoTで見える化されたデータを積極的に活用して、改善しようという意欲は出てきません。
これは私の持論ですが、やる気は他人から認められ、感謝されることで出てくるものだと思います。会社から改善を認められ、感謝されることが、現場の自信につながり、次の挑戦へつながるのだと考えています。
IoTは魔法の杖ではなく、現場の能力を最大限に引き出す道具に過ぎないことを認識し、当たり前のことを当たり前に実行できる現場に敬意を払い、現場の次の挑戦をサポートできるマネジメントを行うことがIoT化成功のポイントだと考えます。