改善案を継続し、習慣化するためには1)管理指標、2)習慣化ツール、3)ほめること、という3つの仕組みが重要です。今回は3つ目の「ほめる」ポイントと、管理職が変わっても改善を続けるためのコツをお伝えします。
目次
「言われたことをやるのは当たり前」をやめる
耳が痛い方もいるかもしれませんが、経営者や管理者の多くは「現場は言われたことをやって当たり前」という思考があるため、「ほめる」ことを推奨しても、なかなか実行しない傾向があります。また、日本人は公の場でほめたり、褒められたりする習慣が少ないため「恥ずかしい」という感情がブレーキになっている場合もあります。
とはいえ、ほめることが組織に良い影響を与え、ビジネスを良い方向に向かわせる事は、誰もがお気づきのことと思います。
ほめることで得られる3つの効果
改めて確認しておきますが、ほめることの主な効果は以下の3つです。
ほめることは「次回も同じようにやってください」という、人の行動にアクセルをかける言葉になります。
現場と管理者、経営者の間に良いことも悪いことも「言える」関係が醸成されることで、情報の伝達・問題解決のスピードアップにつながります。
いつも叱っていると、あの人よく叱る人だと現場が認識するため、叱ることによる改善の効果がだんだん薄れてしまいがちですが、「ほめる」と「叱る」を組み合わせることによって、しかる効果も増大します。
現場の改善スピードを上げるほめ方のポイント
ほめることが効果があるとはいえ、ただやたらにほめても、不審に思われたり、下心を疑われたりと、逆効果になる可能性があります。では、どのようにほめたらよいのでしょうか。ポイントは3つです。
「良いですね」「すごいですね」など、抽象的なほめ方を続けると、「この人は私のことを本当に見ているのだろうか?」と不信感を招く場合があります。どこがどのようによかったのか、具体的にほめることで、次も同じ成果を得よう、というがんばりにつながります。具体的にほめるためには、現場をよく見ている必要があるため、結果的に管理者と現場のコミニュケーションも良くなる、という効果もあります。
良いことがあったり、良いと思ったら、すぐにほめましょう。本人の気持ちが高ぶっているときにほめるのがもっとも効果的です。
ただ言葉をなぞるだけのほめ方では相手に伝わらないため、笑顔でほめることが重要です。当たり前、と思うかもしれませんが、意外とできてない人が多いのです。
以上、1)管理指標、2)習慣化ツール、3)ほめる の3つのツールを活用し、改善案を継続、習慣化していきましょう。
人事異動で「改善」を「改悪」にしないために
せっかくこれまでお伝えしてきたような方法で改善を継続しても、管理職を代えると仕事のやり方まで変えてしまう、というケースが多くみられます。これを改善のチャンスと捉える考え方もありますが、残念ながら、良い習慣まで変えてしまう「改悪」になる場合がほとんどです。ある小売店では、部門のチーフが変わる度に野菜の切り方から、陳列の仕方まで、現場の作業が大きく変わるため、「部門チーフが変わると別会社になる」とパートの方々に言われていました。これまでコツコツ積み上げてきた改善ノウハウを水の泡にしないためにも、管理業務を標準化し、管理職が変わっても現場が変わらないような仕組みを作ることが重要です。そのためには、図を参考に、管理職チェックシートを作成、運用することをお勧めします。
ツールを生かし、改善につなげるには
これまで様々な現場改善の手法、ツールをお伝えしてきました。しかし、手法、ツールは知っているだけでは全く役に立ちません。そうです、実際に現場で活用し、現場が変わらなければ、企業は変わらないのです。
あっという間に強い現場に変わるような魔法の杖は、当然ですが存在しません。紹介したツールを活用し、1つひとつの業務を本当に合理的かどうかを分析、見直しをすることで、強い現場を作っていきましょう。
最後に、私が企業で改善を進めるために現場で心がけていることをお伝えします。
現場に溶け込み、改善を進める7つの信条
- 一、とにかく接する時間を増やせ
- 二、いつでも見られていると思え
- 三、ルールは絶対に守る
- 四、弱みを見せろ
- 五、現場の苦労に共感せよ
- 六、現場が楽になることを考えよ
- 七、同じ目標を持ち、一緒に汗をかけ
いかがでしょうか。これまでご紹介した現場改善のスキル、ツールが、あなたの現場改善のお役に立つことを祈っています。