日本の企業が今後否応なく直面する「人口減」問題。その解決の糸口となる「IT」の必要性、効果や活用法について、詳しくご紹介します。
目次
避けられない「人口減」と、その解決策とは
戦後の日本は、一貫して人口が増え続けてきたため、「人口増」を前提条件に企業経営のシステムや文化ができてきました。
しかし、2015年の労働人口を基準に考えると、2025年には7%、2035年には20%と、労働人口は確実に減少します。
今後人口が減少する中、どのように企業を成り立たせるか、熟考しなければなりません。
にもかかわらず、外国人や高齢者を活用すれば何とかなると、問題を軽視ししている経営者が多いのも事実です。しかし、資金のある企業が高い給与で人材を募集するため、給与水準の低い企業は、これまで以上に労働人口の確保が難しくなることが予想されます。
このように、労働人口の増加が見込めないとなると、「生産性」を向上させることが企業経営において必須条件となります。
「IT」は、その生産性を高めるために重要なツールの一つなのです。
IT活用の有無が経営の明暗を分ける
残念ながら、ITとなると「自分はわからない」「自分の事業には関係がない」と、社員に丸投げの経営者が多いのが事実です。
しかし、今後ITやITを通じた商取引がますます増えていく中、ITを理解、活用できないと、企業が生き残っていくのは難しいでしょう。
たとえば、法人向けに製品やサービスを提供している企業でも、顧客が取引先を探すのに最初に行うのはインターネットでの検索です。ここでみなさんの会社が表示されないと、どんなに良い製品やサービスを提供していても、顧客に知られることはありません。
また今後、人手不足が深刻になっていく中、せっかく採用した社員が、介護や出産などで退職することは、非常に痛手となります。
その際、自宅でも仕事ができるなど、働き方の選択肢が多ければ、離職による戦力ダウンを防ぐことができます。
最近では、「ギグエコノミー」という仕事のやり方も増えています。
ギグエコノミーとは、「インターネットを通じて単発の仕事を受注する働き方」のことで、大企業の副業解禁を背景に、マーケットが広がっています。
デザイナーやWebマーケッターなど、これまで中小企業ではなかなか採用できなかった人材も、ギグエコノミーを活用することで、少ない人件費で生産性を向上せさることができ、結果的に競争力の強化につながります。
経営者がITを活用するために、最低限必要なこととは
経営者として、ITスキルが高いに越したことはありませんが、最低限必要なことは、ITツールへの苦手意識をなくし、常に新しい技術に触れておくことです。
ITツールを使うメリットとデメリットを、肌感覚でわかっておくことがとても重要なのです。肌感覚でイメージがわかないと、部下から上がってくる提案に意思決定ができず、結果的に競合にどんどん遅れをとってしまう、というケースが非常に多いのです。
ITに疎いある企業の社長は、私から何度もテレビ会議の提案をしましたが、対面が良いと拒否していました。ところがある日、交通トラブルにより、私が訪問できなかった際、やむを得ずテレビ会議を行ったところ、その便利さに感動し、以降テレビ会議を頻繁に行うようになった、ということがありました。その社長は、その後ITツールを次々に導入し、業務改革を行っていったのです。
この社長は幸いにして、半強制的にITツールへの苦手意識をなくしたことで、業務改革につながりました。あなたの会社でも、食わず嫌いでITを取り入れないことによって、業務改革の芽がいくつも摘まれてしまっているかもしれません。
ITツールを使うには、自分で勉強するのには限界があるため、若手に教えてもらうのがもっとも早いでしょう。初期設定と使い方を若手に教えてもらい、使える状態になってから試してみるのです。このように、定期的に若手から情報を仕入れることで、企業内のコミュニケーションも円滑となり、新たなアイデアも生まれやすくなります。
テクノロジーの進化により、中小企業に吹く追い風
今、ITツールは、クラウドサービス、スマートフォンやタブレットの普及により、中小企業に追い風となっています。
これまでは、ITのソフトは数十万円〜数百万円と高額で、パソコンなどのシステムも変更する必要があったため、非常に手間とお金がかかっていました。
しかし現在は、ITツールの提供方法はクラウドサービスが主流となり、Microsoft EdgeやGoogle Chromeなど、ブラウザで使用できるものも多くなったため、中小企業でも安価で便利なITツールが使えるようになりました。
また、スマートフォンやタブレットの普及で、パソコンは苦手でもスマートフォンやタブレットであれば使える、という方も多いと思います。
現在では、キーボード入力が苦手な方でも、スマートフォンやタブレットに音声で文字を入力できるなど、便利なツールが多数提供されています。
このように、現在は便利なITツールを使うための環境は整っているので、中小企業でも、知恵と工夫次第で、大幅にサービスの向上や生産性向上をはかることができます。
「ITはよくわからない」という言葉を封印し、積極的にITに触れていくことができるかどうか?が、今後の経営を左右する、と言っても過言ではないでしょう。