5Sが継続しない理由とは?
クライアントの社長や経営幹部から「5S活動が長続きしない」「提案制度が長続きしない」といった相談を受けることが多くあります。改善は、積み重ねがポイントですから、些細なことでも続けることに重要な意味があります。
今回は、改善が継続する秘訣について、それが継続しない理由から考えてみたいと思います。
目次
現場の自主性に任せる
改善は自主性が重要であるからといって、
すべてを現場の自主性に任せてしまうとうまくいきません。
確かに、現場の自主性に任せることは必要ですが、
それはすべてではありません。
現場の自主性に任せてよいのは、改善策など、個別の改善の中身です。
改善をするかしないかまで任せてはいけないのです。
経営者は、改善を会社の仕事として組み込むことが必要です。
改善に必要な経営資源(時間、お金など)を投下し、改善の目標を立てることは、
会社として明確にしなければなりません。
声がけが思いつき
現場は、経営者や管理者の一挙手一投足を見ています。
経営者、管理者が、改善活動に対して優先順位が低いと現場が感じたら、
目先の仕事を理由に改善活動が滞ってしまいます。
現場は、経営者や管理者の言動から優先順位を感じ取っているのです。
「改善活動した?」という発言が多ければ、優先順位が高いと感じ、
改善活動は進みますし、このような発言がなければ、改善活動はしぼんでいきます。
それを防ぐためには、定期的な声がけが必要ですが、多忙な経営者、
管理者がこれらを常に意識することは難しいでしょう。
そこで、定期的な会議の最後に、改善の状況を報告させ、
改善に関するコメントをすることにより、
声がけが思いついたときのみにならないようにします。
例外が存在する
全社で改善と言いながら、聖域が存在することがあります。
たとえば、改善が現場だけの対象となっていて、
総務、経理などの間接部門は実施していないケースや、
特定の部門だけは治外法権になっていることが見られます。
例外が存在すると、現場のやらない理由を作ることになり、継続は難しいです。
全社で聖域なく行うことが重要です。
レベルの高い提案を求められる
現場の自主性をといいながら、改善に高いレベルを求めることがあります。
たとえば、せっかく出てきた改善提案をレベルが低いと現場に突き返したりすると、
現場のモティベーションが下がり改善活動は低迷します。
改善提案は数が重要です。
多くの改善策が出されることで、
その中にきらりと光る良い改善策があるのです。
そのため、レベルを求めるのではなく、数を求めることが重要です。
どんな提案内容でも受け入れ、
改善をしてくれたことに対して感謝の意を示すべきです。
面倒な仕組み
面倒な仕組みとは、提案する際のフォーマットなどに見られます。
改善効果額を書かせたり、費用対効果を書かせたりと、ちょっとした改善なのに、
設備導入をするかのように細かく書かせるフォーマットをよく見かけます。
また、改善提案を出す際に、部門長のチェックや承認などが必要な会社もありました。
このような面倒な仕組みは、改善への敷居を高くし、改善が継続しません。
改善のアイディアを思いついたら、
「付箋紙に名前とアイディアを書いてね?」
くらいの軽い仕組みが継続のポイントになります。