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改善活動が続かない原因とは?
「過去に改善活動を行ったけれども、なかなか続かなかった」という声をよく聞きます。しかし、耳が痛いかもしれませんが、改善が長続きしないのは、経営者や幹部の方針が長続きしないことの表れであることが多いのです。ではなぜ方針を貫くことができないのでしょうか?それは、競争の激しい昨今の環境において、早急に成果が欲しい、と思うあまり、成果が出るまで待てない経営者、管理職がほとんどであることが挙げられます。
現場改善が成果として財務諸表に現れるまでには時間がかかります。それは、改善案をすぐに徹底できる組織は少なく、定着させるのに3〜6ヶ月の期間を要するからです。改善案を導入すると、新しいやり方に慣れず、現場が混乱し、それが収まって定着する、というステップを踏むため、成果が数字に表れるのに時間がかかるのです。
さらに、職場の風景も短期間で変わるわけではなく、数ヶ月の活動を経て徐々によくなっていくため、トップの関心が薄れてしまいがちであることも要因の一つです。
つまり、成果が数字として表れ、現場の変化を感じられるまで、経営者や管理職が一貫した方針を貫き、推進し続け、関心を持ち続けることが、現場改善継続のカギと言えます。まさに「改善は経営者と現場の根競べ」なのです。
改善案を立案するよりも大事なこととは?
では改善を継続するにはどのように進めればよいのでしょうか?
ポイントは①5S ②改善③習慣化の3ステップに分けて取り組むこと、です。多くの企業の改善への取り組みは、やり方を変える部分に力が多く注がれ、習慣化の部分のフォローが少ないため、改善案を導入しても時間が経過するとリバウンドしてしまう、という傾向があります。もちろん、チェックシートや作業標準を使って現場に浸透させようと皆さん工夫をされています。しかし、現場に行ってみるとチェックシートが有効に機能していない、ということが残念ながら本当に多いのです。心当たりがある方も多いのではないでしょうか。
現場の作業や業務はスポーツと同じで体で覚える要素も多く、頭でわかっていても直せない、ということが往往にして生じます。スポーツのフォーム改善が選手一人だけではなかなかできないのと同じで、現場改善も、チェックシート等で現場に管理させるだけでは現状を客観的に判断することが難しいため、形骸化しやすくなり、成果につながらない、というのが多くの現場の現状です。そこで、経営者や管理職がコーチのような役割を果たし、できているところ、できていないこところを明確にし、ほめたり叱ったりしながら、導入した改善策を意識しなくてもできるようになるまで根気強く関わっていくことが重要です。
その際、前述した3つのステップに分け、それぞれの役割を明確にし、目的にあったツールを活用することが、改善案継続のカギとなります。
改善を定着化するための3ステップ
以下、3ステップの概要を見ていきましょう。
STEP1: 5S 【整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清掃(Seisou)、清潔(Seiketu)、躾(Situke)】
- モノを定位置化し、作業のバラツキを少なくする
- 現場のムダに対する感度を上げる
- 全員参加
STEP2: 改善
- 効率的な作業のやり方を立案、導入する
- 改善リーダー、職場管理者主体
STEP3: 習慣化
- 改善案を浸透させる
- 職場管理者主体
これを見ていただければわかる通り、STEP1の「5S」以外の「改善」「習慣化」は管理職が主体で進めます。厳しい言い方ですが、「うちの現場では改善が続かない」と公言することは、「うちの管理職は仕事ができない」と公言しているのと同じことなのです。とはいえここで犯人探しをしても意味がありません。改善案の成果が出なかったのは、やり方が合っていなかっただけなのです。たとえ成果が出なかった改善案でも、うまくいっていたこともあったはずです。「あの改善案は成果が出なかった」とひとまとめにせず、以下のシートを活用し、これまでの活動を振り返ってみてください。
ダイエットや英会話など、やろう!と計画は立てたものの続かなかった、という経験は誰にでもあると思います。改善案を立案することも重要ですが、結果が出るまで根気強く習慣化することが非常に重要であり、難しい面でもあるのです。しかし、難しいからこそ、それができることが他社との差別化となり、強い現場、強い企業へとつながっていきます。
次回以降の記事で、具体的な改善の進め方やツールをご紹介していきますので、是非一緒に取り組んでいきましょう。