5S活動のうち整理(Seiri)・整頓(Seiton)の2Sは、コストの削減に関わるため重要です。
その削減効果は、労務費だけでなく、購入品とその購入費用にも及びます。
目次
その他購入品
購入品の中でも、2Sの効果が最も出るのが、こまごまとした購入品の削減です。単価も安く、購入頻度も高くないせいか、管理がルーズになりがち。その結果、職場がモノであふれるのです。
以前、スーパーのバックヤードの2S支援をした時のこと。ハサミが十数本、穴あけパンチが4個、出てきました。穴あけパンチについては、2つは新品で、箱も開けられていませんでした。
整理・整頓がおろそかになっていると、使いたい時に使いたい道具が見つからない。そのため、再購入してしまうのです。このスーパーでは、2Sを徹底しました。その結果、ひと月当たりの備品購入費が30万円から10万円に下がりました。それだけムダな在庫を抱えていたのですね。
メーカーの原材料
メーカーの場合、ケースは限られますが、2Sで原材料費を下げられます。正確には、原材料費がムダに増えるのを防げます。整理・整頓が行われることにより、作業の間違いが少なくなります。その結果、トラブルが少なくなり、原材料費が下がるのです。
以下にご紹介するのは、ある飲料メーカーを支援した時の実話です。見た目の似ている複数の原料が、識別する表示のないまま原料置き場にありました。間違えないか不安になったので、表示をつけるよう助言しました。しかし、現場の方はベテランで自信があり、表示をつけませんでした。
やがて不安は的中します。あるとき、国産の原料を使うべきところ、外国産の原料を仕込んでしまったのです。その間違いだけで、瞬く間に300万円の損失。廃棄費用や、納期遅延による各種対応も加わって、被害はさらに膨らみました。
これは少し大げさな事例かもしれません。ですが、みなさんの現場でも、似たようなことはありませんでしたか。
2Sと「先入れ・先出し」がきちんとできていれば……。
後悔は先に立たず。
2Sの一環として、当たり前の「表示」を見直し、トラブルを未然に回避しましょう。
小売・サービス業における食品
小売・サービス業で食品を扱っている場合、2Sで商品の値引きや廃棄を最少化できます。
結果としてそれらの購入費を抑えられます。
食品を扱う企業が避けて通れないのが、商品の賞味期限・消費期限です。
賞味期限・消費期限が近づいてきたものは、値引き販売か、廃棄することになります。
そうならないためには、「先入れ・先出し」が必須です。
先に仕入れたもの(製造したもの)から先に販売(使用)しなければなりません。
もし、「先入れ・先出し」が徹底されないと、どうなるでしょうか。
賞味期限がまだ先のものから売ることになってしまうかも知れません。
後から売場に並べたものは、賞味期限が間近に迫っています。
このため、値引きしなければならないおそれが高まるでしょう。
気がつかなければ、賞味期限切れの商品を売ってしまうことにもなりかねません。
スーパーやコンビニでは、仕入れ業者に対しても「先入れ・先出し」が徹底されています。
商品の製造日が1日でも前後して納品された場合は、受け入れを拒否されてしまいます。
小売・サービス業の場合、整理・整頓によって「先入れ・先出し」を徹底できます。
そのおかげで、商品の値引きや廃棄ロスを最少化できるのです。
在庫管理もしやすくなって、欠品も回避できることでしょう。