5Sが単なるスローガンで終わってしまわないためには、推進体制が必要です。
役回りを決め、目標を明確に定めて、やる気を損なわない仕組みを構築しましょう。
5Sを推進する体制には、少なくとも4つの役回りが必要です。
それらは、「推進者」、「実行者」、「サポート者」、「鬼」です。
「推進者」は、改善活動全体のとりまとめなどを行う、5S推進のリーダーです。
たとえば、進捗会議を設定したり、取組み内容を考えたりします。
「実行者責任」は、まさしく各職場における5Sの実行責任者です。
職場ごとに5Sの計画を立案し、実行に対する責任を負います。
「サポート者」は、表示や報告書の作成など、事務的な作業をサポートする担当です。
事務的な部分まで現場(実行責任者)に任せてしまうと、計画が滞りがちになります。
このため、必要な役割です。
「サポート者」を経理や総務などの間接部門が担うと、副次効果も期待できます。
部門間のコミュニケーションが活性化するのです。
「鬼」はチェック役。
計画やノルマ通り進んでいない責任者に喝を入れる役です。
社内で恐れられている人がいいでしょう。
5Sの体制は、これら4役を決めて構築します。

2.目標は「質」より「量」
エリア制にするにせよ、マラソン制にするにせよ、目標を明確にすることが必要です。
「やったか・やらなかったか」を明確にできるよう、数値(量)で設定すると良いです。
その際、どの程度までするかの中身(質)は、設定をしないほうが良いです。
「そこまでやる時間がない」などとして、停滞するチームが出てくるからです。
目先の忙しさを、やらない口実にさせてしまわないようにしましょう。
質は、やり続ければ、絶対に高くなります。
やり続けることを目標として進めるのが、継続のコツなのです。
やり続けるためには、「鬼」による進捗管理を導入します。
その頻度は、週1回がベストでしょう。
1か月に1回だと効果は薄れます。
「鉄は熱いうちに打て」と言われます。
人も同様に、フィードバックのタイミングは、できるだけ早いほうが良いのです。
繰り返しになりますが、チェックのポイントとしては量に着目しましょう。
計画通り、もしくはノルマ通り、「やったか・やらなったか」を明確にします。
見える化するのも、良いことです。
可能であれば、誰でも進捗状況がわかるように、職場別に実施状況を貼り出しましょう。
3.「ダメだ!」と叱る前に
やり続けるために、質は問わず、量を目標とするのですが、注意が必要です。
質が一向に上がらないケースがあるのです。
原因は、整理・整頓の2Sをおろそかにしたまま、清掃を行ってしまうからです。
5Sの基本は整理・整頓であり、まずは不要物を廃棄することです。
不要物がなくなり、モノが少なくなってこそ、モノの管理がしやすくなるのです。
しかし、質が上がらない職場は、清掃にばかり打ち込んでしまっています。
そうなる理由は2つあります。
1つ目は、清掃の方が簡単にノルマをこなせるからです。
ほうきで職場を掃いておけばよい、と考えてしまうのです。
そうなってしまっていても、全体の前で指摘する必要はありません。
縛り(制約条件)を設けることが対策として有効です。
たとえば、「機械周辺の不要物撤去週間」などと、2Sの重点エリアを設定するのです。
2つ目は、教育不足です。
具体的にどのようにやってよいのか、わからないケースです。
その場合は研修を受けに行かせて、能力アップを図ります。
うまくいっている他職場の事例を見せて、真似するように促すことも有効です。
「ダメだ!」と叱る前に、現場が前向きに取り組めるような環境を作ることが大切です。