前回は「整頓」について触れましたので、今回は「清掃」について。
5S活動における清掃とは、「身の回りのモノをきれいにして、いつでも使える状態にすること」です。
「いつでも使える状態」が目的なので、単にきれいにするのではありません。
工具であれば点検をする必要がありますし、備品類であれば補充をすることも必要です。
次の作業を準備することが、清掃なのです。
清掃は「貫く力」を向上させる一歩なので、粘り強く定着化させたいものです。
目次
本格実施は2Sができてから
清掃は、2Sがある程度進んでから、本格的に実施するのが望ましいです。
モノが多い状態で行っても、時間をかけた割には、きれいにならないからです。
2Sが進んでいないのであれば、清掃の時間を2Sに充てたほうが有効です。
2.清掃は全員の仕事
清掃は、経営者や管理者を含む「全員参加」が望ましいです。
汚す人ときれいにする人が異なると、きれいに使おうという発想になりにくいからです。
清掃を全員参加とするには、経営者や管理者の強い意志が必要です。
それは、フリーライダーが現れたり、「清掃≠仕事」の問題が発生したりするからです。
「全員参加」にすると、必ず出てくるのが、フリーライダーです。
自身は集団に対して貢献せず、集団の利益に「タダ乗り」する人のこと。
ここでは、「忙しい」と言って清掃をやらない人を指します。
フリーライダーを黙認してしまうと、全体の活動もいつの間にか、しぼんでしまいます。
そうならないよう、一日の決められたタイミングで、全員が取り組みます。
時間は10~15分でよいので、その時間帯は清掃を最優先の業務とします。
これをルールとして、経営者や管理職にも徹底しなければなりません。
もうひとつは、「清掃≠仕事」という問題です。
かつて、清掃は仕事が始まる前にしておくのが当然でした。
だから、清掃に対する賃金は支払わない、という経営者の方もおられます。
しかし、賃金を払っているからこそ、仕事として指示できるのです。
「ボランティアでやることだ」としてしまっては、清掃をやる人が限られてしまいます。
清掃を、早出や残業ではなく、就業時間内の全員の業務として位置付けるのです。
3.フリーライダー撲滅作戦
清掃を最優先の仕事と位置付けても、それだけではうまくいきません。
「急な仕事がある」などと理由をつけて、やらない人が出てきます。
そういう事態を撲滅する方法があります。
フリーライダーを見える化し、フリーライダーに指摘をしていくのです。
具体的には、清掃時間に音楽を流します。
音楽が流れている間に、経営者や管理者が職場を見回ります。
その際、清掃をしていない人がいたら、掃除をするように指導していきます。
このように、フリーライダーを見える化し、摘発していくことを繰り返します。
すると次第に、清掃が重要な仕事だと認識され、徹底されるようになるのです。
経営者や管理者が本気になって、2S・5Sを進めることが重要です。
次は5S活動における「清潔」について。「清潔」で3Sをキープ!