5S活動の進め方には、さまざまな手法があります。代表的なものを三つ紹介しますが、やり方を学ぶだけでは不十分です。メリット・デメリットなど、特徴も押さえたうえで実践しましょう。そもそも5Sとは?
目次
赤札作戦
赤札作戦とは、すべてのモノに赤の付箋紙やテープなどで目印をつける方法です。
準備は、それだけ。
あとは待つだけです。
ただし、モノを使うときには赤い目印を外して、元の位置に戻します。
一定期間(1週間~1か月くらい)が経過した後に、モノの収納場所を見ます。
もし、赤い目印がついていれば、期間内に使われていないモノであると分かります。
それらのモノは廃棄、もしくは職場から撤去します。
これで整理は済みました。
その後、整頓をしていきます。
赤札作戦のメリットは、一定期間で一気にモノが減り、効率が良いことです。
デメリットは、モノの少ない状態を維持しようという気持ちには、なりにくいことです。
不要物が増えてきても、「また、赤札作戦をやればよい」となってしまう。
「日々、継続して改善する」という意識は芽生えにくいと思います。
それゆえ、赤札作戦を実施してはリバウンドを繰り返す企業が多いように思います。
エリア担当制
エリア担当制では、職場を一定のエリアに区切り、エリアごとに5Sの担当者を置きます。
各担当者が5Sの実施計画を作り、実行していくやり方です。
見取り図を使って責任範囲を明示しましょう。
5Sの実施計画書は、「いつ」「誰が」「どこをやる」が分かればOK。
記載事項はシンプルにして、実行に注力しましょう。
このやり方のメリットは、エリアごとの責任感が芽生え、意識の向上が図れることです。
そのため、リバウンドは少ないように思えます。
一方、デメリットは、担当者ごとのばらつきが出ることです。
なかには「自分が責任を負うのだから、いいや」と考える担当者が出てきてしまいます。
その結果、進むエリアと進まないエリアに分かれてしまうのです。
モノ使う人と5Sをする人が異なることも、デメリットの一因になります。
作業がやりにくくなる人が出たり、部分最適になってしまったりするためです。
とはいえ、エリア担当制は、2S(整理・整頓)が進んだ後の、清掃の段階では有効です。
マラソン方式
マラソン方式は、3~5人くらいの小グループに分かれて進めます。
担当する範囲の整理・整頓に、そのグループ単位で取り組みます。
ルールは、グループごとに週3件(2日に1回)の5Sの実施と報告を行うだけ。
何をどのようにやるかは、各グループのリーダーに委ねられます。
「質」(内容)は問わず、「量」(やったかどうか)だけを問います。
報告の際には、証拠として「改善シート」を提出します。
これは、改善前と改善後の現場の様子を写真に撮り、1枚の紙にまとめたものです。
掲示板に貼り出して、見える化します。
このやり方は、週3回の実施が習慣化されるというメリットがあります。
デメリットは、1回の改善幅が小さく、成果が出るのが遅いこと。
それと、実施報告のための資料作成に手間がかかることです。
面倒な実施報告の目的は、やっていない人を取り締まるためではありません。
他のチームの改善から、3S(整理・整頓・清掃)の知恵を得ることです。
3S改善報告を掲示することで、さまざまな部署からの知恵が共有されます。
日々の3Sに行き詰まったら他部署の知恵をパクることで回数の目標が達成されます。
成果は出にくいですが、「継続は力なり」です。
1か月で12回(週3回×4週)、1年間で144回(月12回×12月)。
144回も実施すると、どんな企業でも整理・整頓が進みます。
支援先のクライアント様を見ると、6カ月目位から現場が大きく変わることが多いです。