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営業の生産性向上にはオンライン工場視察LIVEか
私は地方のクライアントが多いので、営業の生産性向上をどのように改善するかが長年の課題でした。
コロナ禍の前からにおいても、メールや電話を使っての営業を提案しており、3年くらい前からはLINEのビデオ通話やZoomを使った営業もできるようになっていました。しかし、営業は相手のあることです。いくら自社で対応ができても、顧客がそれに対応していなければ、訪問しなければなりません。そのため、オンラインの営業は進まず、営業の生産性はなかなか上がりませんでした。
そのような中、コロナウイルスの蔓延により、多くの企業が訪問営業を自粛し、オンラインでの営業や打ち合わせが増加した結果、オンライン営業が許容されるようになってきました。
しかし、オンライン営業を進めてみると、既存の顧客とは気軽に相談できるようになり、より一層の関係強化につながることが多いようですが、新規顧客の開拓となると、なかなか受注にまでつながらないことが多いということがわかりました。その要因を大手の購買担当者にヒアリングしてみると、信頼して取引ができるかが不安との意見がありました。
それを解決できる可能性があるのが、「オンライン工場視察 」だと私は考えます。どのような人がものづくりをしているか、どのような管理をしているかなど、工場をありのままに見せることが、取引先の信頼につながると考えています。
オンライン工場視察LIVEは諸刃の剣
オンライン工場視察LIVEとは、オンライン(Zoom)商談の後、オンラインで工場を視察してもらうものです。これにより、安心して注文できる工場なのかどうかを判断することができ、信頼関係を構築しやすくなるのではないかと考えます。
しかし、オンラインで工場視察をした場合、工場の状態が悪いと、逆効果になり、得られた信頼を失ってしまうこともあるでしょう。
オンライン工場視察を行う際は、顧客から信頼されるような魅せる工場づくりが重要なのです。
(オンライン工場視察の詳細は、下記のWebサイトをご覧ください)
魅せる工場づくり
①5Sのレベルアップ
魅せる工場にするためには、きれいな工場であることが前提条件です。そのためには、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)は必須となります。あまり5Sが進んでいない企業は、これから必死になって行う必要があるでしょう。正しいやり方を行えば、6か月である程度の職場にはなるはずです。
リアルの工場視察で「きれいですね」と評価されている企業も油断をしてはいけません。オンライン工場視察では画面が小さいため、リアルでの工場視察では気にならないモノの位置の乱れがとても気になります。また、設備の裏に映るモノなども非常に気になるものです。オンライン工場視察では、これまでの5Sのレベルを1段階上げる必要があるのです。
私の経験では、5Sができているという企業の8~9割が「見た目は片付いている状態」の段階です。確かに見た目はきれいなのですが、表示が少ない、発注点が決められていない、モノを置く位置に改善の余地があるなど、「生産性の高い状態」とはいえません。
また、「営業マンとして活用できる状態」の段階になるためには、生産性の高い状態を徹底できていたり、教科書には乗っていないような自社の工夫をしたりすることが必要でしょう。つまり、この企業の仕組みは考えられているなと思わせることが重要なのです。
②管理の見える化
工場視察で顧客が見たいのは、現場の管理の状態です。管理といっても、ISOなどに書かれているような管理体制ではなく、仕掛品はどのように管理されているのか 、品質管理はどのようにされているのか、現場の社員をどのように動かしているのかということでしょう。
具体的には、品質管理では不良品を赤箱で管理しているか、検査要領が写真でわかりやすく掲示されているかです。「検査要領なんて頭に入っていて不要だよ」という企業もあるかもしれませんが。ただ、頭に入っているのは作業されている方だけです。安定的な品質の製品を作り出すには、人が変わっても再現性の高い仕組みを構築し、伝えていくことが重要なポイントになります。
③社員の姿
なんといっても一番の差別化の要因は、動きや表情といった社員の姿でしょう。5Sや、管理の見える化はマネできても、社員の動きや表情だけはマネできません。帽子をかぶっていなかったり、作業着を腰パンではいていたり、ダラダラとした動きなどは非常に目につきます。
もし、心当たりがある企業様は、オンライン工場視察LIVEの練習会を行う中で、修正をしていくと良いでしょう。
工場のショールーム化戦略
最後に、魅せる工場で儲かるのかという疑問です。5Sや管理をしても、手間ばかり増えて、儲からないと言われる経営者もいます。しかし、私はうまく戦略を立てれば、利益は上がり、社員も活性化すると考えています。
工場のショールーム化戦略は、地方の事業再生で採用した戦略です。金属加工業のA社は、長年、赤字体質で事業継続も危ぶまれた企業でした。工場のショールーム化戦略を軸に事業計画を立案したところ、金融機関からは戦略としてどうかという声もあがりました。しかし、この戦略を愚直に実行したことで、3年間で営業利益率は大幅に増加しました。最高では15%を超えるところまで高まり、金融機関からも金融支援を受けられるようになりました。
工場のショールーム化の流れは簡単です。生産現場は工場のショールーム化を目指し改善を行います。一方、営業担当者は顧客や協力会社からの工場見学を増やすことを目標に活動を行います。顧客の工場見学が増えると、見積りが増え、受注増につながります。協力会社の工場見学 が増えると、外注先の開拓につながり、仕事をいただいたり、お願いしたりできるようになります。
工場見学の際には、必ずアンケートを実施し、見学者からフィードバックを受け、社員に公開します。顧客からの評価が良ければ、社員のモチベーションも上がり、さらなる改善が進みますし、指摘事項があれば改善されます。
このように5S改善と営業戦略のストーリーを作ることで、利益の向上と組織の活性化を同時に実現できるのです。