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5Sとは
5Sとは、整理(Seiri)・整頓(Seiton)・清掃(Seisou)・清潔(Seiketsu)・躾しつけ(Shitsuke)の頭文字をとったものです。
5Sを「現場をきれいにする活動」と捉える人も多いようですが、それは誤りです。5Sは「現場改善活動」であり「経営改善活動」です。
5Sによりモノが定位置化すれば、現場でモノを探すことが少なくなり、作業時間の短縮や余計な残業の削減につながり、現場が楽になるので、現場のための活動と捉えることもできます。
職場に同じ道具や文房具が複数存在することはないでしょうか。これは、モノが管理できていない現場で多く見られる現象で、ほとんどの場合、作業をしようとするとモノが見つからないために購入し、しばらくすると発見されるという流れになっているのです。5Sによりモノの定位置化が進むと、モノがなくなることが少なくなり、再購入する費用を削減できるので、損益計算書の改善にも直結するのです。さらにマネジメントの改善も進めていき、探す時間を作業時間に振り分けることで、生産性も大幅に向上します。
私は現場改善支援のほかに、事業再生も行っていますが、事業再生の現場でも5Sを取り入れることで収益は向上します。これまでの経験では、5Sを行うことで、営業利益率が2%から15%超えまで上昇した事例もありました。
各Sの意味
①整理とは
整理(Seiri)とは「今、職場で、要るモノと要いらないモノを分け、要るモノだけを職場に残すこと」です。
整理の基本は「廃棄」です。まずは明らかに不要なモノを職場からなくすことです。そして、必要なモノでも「今、その職場で使わないモノ」については、別の場所に保管することを検討しましょう。
職場にあるモノが少なくなれば、管理するのも楽になります。そのため5Sの要は整理といえるでしょう。
②整頓とは
整頓(Seiton)とは「必要なモノを、決められた場所に、決められた数だけ置くこと」です。つまり、必要なときに必要なモノをすぐに使える状態にすることです。
整頓の基本は「定位置管理」です。モノを置く場所を決め、表示を決めることです。消耗品など、在庫の数量が変わる場合は「いくつに減ったら、いくつ購入する」という発注点を決めておくことも必要です。
③清掃
清掃(seisou)とは「ゴミ・汚れ・異物などをなくして、職場をきれいにすること」です。定位置管理が乱れているのを修正したり、職場のごみや汚れを取り除いたりすることです。職場のごみや設備の汚れは不良発生につながることも多く、職場を清掃することで、不良発生を抑制する効果も期待できます。
清掃を行うことで、職場や設備の異常に気付くことができ、さらに整理・、整頓を進める根拠ともなります。
また、働く環境が社員の不満につながることも多いので、清掃が企業の雰囲気を作る要因の一つとなるでしょう。
④清潔(Seiketsu)
清潔とは「3S(整理・整頓・清掃)の成果を安定して維持させるための職場の仕組みづくりのこと」です。3Sで生産性が高まった職場を後戻りさせないために行うものです。
整頓とも重なりますが、姿置き(形跡管理)や、棚の扉をつけないことによる中身の見える化、色での管理などを行い、異常やルールが一目でわかる仕組みづくりが重要となります。
⑤躾(Shitsuke)
躾とは「3Sの成果を安定して維持させるための管理の仕組みづくりのこと」です。清潔によって異常やルールが分かっても、人が動かないと3Sは維持されません。定期的に指摘することで、ルールや規律を守る習慣がついていきます。
具体的には、パトロールや、権限を持っている責任者による指摘が重要となります。