5S活動とは、整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清掃(Seisou)、清潔(Seiketu)、躾(Situke)のことです。様々な業種でその重要性を知られている5S活動ですが、「本当に利益につながるのか?」と懐疑的な見方をしている方も少なくないことでしょう。そこで今回は、5S活動推進による具体的な効果をご紹介します。
目次
5S活動で得られる効果①「利益の増加」
利益の増加には売上の増加、変動費率の減少、固定費の削減、が必要ですが、5S活動はこれら全てに機能します。
B to Bの場合、監査や試作立会など、顧客が現場に訪問する機会が多いため、5S活動ができているかそうでないで会社の信用力に差が出ます。実際、5S活動を徹底したことで、工場見学者が増え、売上が増加した、という事例も少なくありません。B to Cでも同様で、ほとんどの顧客は厨房や倉庫が汚い店は利用したくないと思っています。現場を「営業の場」と捉え、5S活動を徹底することが売上の増加に繋がります。
変動費とは、材料費、外注費など、売上が増えるとそれに比例して増える費用項目を指します。5S活動ができている現場では、原材料の先入れ先出しができるため、材料が錆びたり賞味期限切れをすることがなくなることで、廃棄損や再購買が少なくなり、結果的に材料費比率が下がります。ある企業では、在庫があるはずの材料を見つけられず再購入することが多かったのが、5S活動を徹底したことで、材料費比率が1.5%下がった、という事例があります。
a.人件費
平均的なサラリーマンは、1年間に150時間モノを探すのに充てている、という調査結果があります。1日の労働時間を8時間とすると、1年間で約19日間、つまり、1年のうち1ヶ月はモノを探している、という計算になります。5S活動によってモノを探す時間が減るため、生産性は上がりますが、それだけでは人件費の削減はできません。大事なことは、生産性が上がった後の業務に合わせて人員の調整をすること、です。多くの現場では、5S活動を行っても人員調整を行わないため、効果が財務の数字に反映されないのです。
b.経費
5S活動のできていない職場の特徴の一つに、必要以上に備品や工具を所有していること、があります。モノの定位置管理ができていれば、備品が見つからなくて再発注するという無駄な経費は削減されます。
5S活動で得られる効果②〜貫く力〜
5S活動は専門的な知識や資金、時間がなくても進めることができ、会社の大小に関係なく取り組める言い訳が効かない活動のため、愚直に継続して行うことが、強い企業の条件である「貫く力」の向上につながります。
5S活動を進める前にやっておくべきこと
実は5S活動を行う前にやるべきことが1つあります。これができていなければ、5S活動を始めてもなかなかうまくいきません。それは、「職場のルールの見直し、徹底」です。なんだそんなことか、と思われたかもしれません。しかし、5S活動は現状のやり方を変え、ルール化していく活動のため、ルールにルーズな現場では、いくら改善を行っても結局元に戻ってしまいます。
就業、朝礼、喫煙など、現在ある様々なルールが守られているかを再度確認し、できていなければ徹底します。文字にするのは簡単ですが、社長、管理職の覚悟と執着が試される、一筋縄ではいかない作業です。よく話し合い、会社の方針を伝えながら、根気強く進めていきましょう。
5S活動の基本を押さえる
以下、5S活動各項目の定義とポイントです。
(1)とにかく捨てる「整理」
・いらないモノといるモノを分け、いらないモノを捨てる
・基準をつくり、機会的に捨てる
・今必要なモノだけを職場に残す
・棚を撤去するなど、物理的にモノが置けないようにする
(2)使いやすく置く「整頓」
(3)次の作業を準備する「清掃」
・職場をきれいな状態にして、いつでもすぐに仕事ができるようにする
・1つの作業が終わったらすぐに清掃できる
・責任範囲の明確化
・清掃状態を確認する仕組みづくり
(4)維持する「清潔」
(5)習慣にする「しつけ」
基本的なことばかりですが、時間も資本もなく始められて、徹底すれば大きな効果の得られる5S活動。是非あなたの職場でも始めてみませんか。次回は5S活動を促進するツールや進め方のポイントをお伝えします。